ソムリエ退職!店舗運営を滞らせないための「完璧な引き継ぎリスト」
長年レストランの「顔」として活躍してきたソムリエが退職する際、その業務の専門性の高さから、引き継ぎが不十分だと店舗運営に大きな支障をきたすことがあります。特にワインの在庫管理や顧客情報、サプライヤーとの関係は、新しいソムリエや残されたスタッフがすぐにキャッチアップできるように、徹底的な情報共有が不可欠です。
ここでは、ソムリエがスムーズに退職し、お店が混乱なくサービスを継続するための必須の引き継ぎリストをご紹介します。

1. 📝 ワインリストと在庫管理に関する引き継ぎ
ワインは生鮮品ではないものの、在庫状況や品質、価格設定は常に変動します。これらに関する明確な情報は最優先で引き継ぐべき項目です。
- 最新のワインリストの完全版:
- 提供価格、原価、在庫場所(セラー内のロケーション)がすべて記載された最新のマスターリスト。
- リストに載せていない**「裏メニュー」や希少ワイン**のリストと保管場所。
- 在庫管理システムの使用方法:
- 在庫管理ソフト(アプリ)のログイン情報、日々の入力・棚卸しの手順、ルール。
- 特に急を要する**「補充すべきワイン」**のリスト。
- セラーの管理とコンディション:
- セラー内の温湿度管理の設定値と、異常時の対応マニュアル。
- 熟成中のワインの最適な飲み頃(ピーク)予測リスト。
- 開封済みボトル(グラスワイン用)の管理ルール:
- 開封後の品質保持期間、デキャンタージュのルールなど、店舗独自の基準。
2. 🤝 サプライヤー(仕入れ業者)と契約に関する引き継ぎ
仕入れルートの確保と維持は、ワインサービスの生命線です。
- 仕入れ先の連絡先リスト:
- 主なワインインポーター(輸入業者)、酒販店、生産者(直接取引がある場合)の担当者名、電話番号、メールアドレス。
- 特に緊急時に対応してくれる業者の明確化。
- 交渉済みの特別価格や取引条件:
- ボリュームディスカウントなどの契約内容や価格交渉の履歴。
- 請求書の締め日・支払い日など、経理処理に必要な情報。
- 購入履歴と発注スケジュール:
- 過去の売れ筋と死に筋のデータ。次の定期発注の時期と発注すべきアイテムの提案。
3. 👥 顧客とVIPに関する引き継ぎ
ベテランソムリエは、しばしば常連客の「好み」を知り尽くしています。
- VIP顧客の好みリスト:
- 常連客の名前、嫌いな品種、好きな産地・ヴィンテージなど、個別の嗜好に関する情報。
- 特に重要な顧客が次回予約している場合、それに合わせたワイン提案の準備状況。
- 苦情や特別な要望の履歴:
- 過去にワインに関するクレームがあった顧客と、その際の対応履歴。
4. 🍽️ サービスと教育に関する引き継ぎ
ソムリエの専門的なサービス知識は、文書化して残す必要があります。
- ワインサービスマニュアル:
- 店舗独自の抜栓、デキャンタージュ、テイスティングの流れ、グラスの選び方など、サービスの標準手順書。
- グラス・サービスツールの管理:
- グラスやデキャンタ、オープナーなどの備品の在庫場所と破損時の仕入れ先。
- 高価なクリスタルグラスなどの取り扱い上の注意点。
- スタッフ教育資料と進捗:
- 残されたスタッフへのワイン教育プログラム(研修資料、テイスティングノート)と、各スタッフの現在の習熟度。
【最重要】データとパスワードの整理
上記全ての情報について、**どこに(ファイル名、クラウド上のフォルダ名)、誰がアクセスできるか(IDとパスワード)**を明確にした一覧表を作成し、責任者に渡しましょう。
ソムリエの退職は店舗にとって大きな痛手ですが、このリストに基づき、知識と情報を「資産」としてしっかりと残すことで、次のソムリエやスタッフが自信を持ってサービスを提供できる基盤が整います。


