飲食店スタッフ向け隠語集:現場で役立つ裏言葉
飲食店の厨房やホールでは、お客様には聞かせられない、あるいは効率的なコミュニケーションを図るために、スタッフ間で独自の「隠語」が使われることがよくあります。これらの隠語は、時にユーモラスであり、時に切迫した状況を伝えるための重要なツールとなります。
この用語集では、飲食店で働くスタッフが日常的に使用する隠語やスラングをまとめました。これらの言葉を知ることで、現場の裏側を少しだけ覗き見ることができ、また、もしあなたが飲食業界で働くことになった際には、スムーズなコミュニケーションの一助となるでしょう。

1. お客様に関する隠語
お客様のタイプや状況を素早く共有するために使われる言葉です。
- バタる: お客様が集中して来店し、店内が非常に混雑している状態。「ホールがバタってる」「キッチンがバタバタしてる」のように使われます。
- ヤマ: 食材やメニューが品切れになること。「〇〇がヤマ」「ヤマった」のように使われます。
- ピン: 一人客のこと。
- カッパ: カップルのこと。
- シロ: 素人、つまり飲食業界の経験が浅いスタッフや、常連ではないお客様を指すこともあります。
- ゲリラ: 予約なしで突然大人数で来店するお客様。
- クレーマー: 文字通り、クレームを頻繁につけるお客様。
- 神: 非常に良いお客様、チップをくれるお客様、またはスタッフに優しいお客様。
- 鬼: 非常に要求が多い、または対応が難しいお客様。
- 一見(いちげん)さん: 初めて来店するお客様。
- 常連(じょうれん)さん: 定期的に来店するお客様。
- まく: お客様に退店を促すこと。閉店間際や次の予約がある場合などに使われます。
2. 状況・場所に関する隠語
店舗内の状況や特定の場所を指す言葉です。
- アイランド: 厨房の中央にある作業台。
- バック: 厨房の裏側、または従業員用のスペース。
- キャッシャー: レジのこと。
- ヘルプ: 応援が必要な状況。「ホールヘルプ」「キッチンヘルプ」のように使われます。
- ラスト: 閉店時間、またはラストオーダーの時間。「ラストオーダー、あと5分!」
- オープン: 開店時間。
- クローズ: 閉店時間。
- ピーク: 最もお客様が多く、忙しい時間帯。
- アイドル: お客様が少なく、比較的暇な時間帯。
3. 作業・業務に関する隠語
日々の業務や特定の作業内容を指す言葉です。
- 仕込み: 営業前に食材の準備をすること。
- 洗い場: 食器や調理器具を洗う場所、またはその担当者。
- バッシング: お客様が退店した後、テーブルを片付けて次の準備をすること。
- ドリンカー: ドリンク作成担当者。
- デスクトップ: 伝票などを置くカウンターのこと。
- オーダーイン: 注文が入ったことを厨房に伝えること。
- オーダーカット: 注文を締め切ること、または注文をキャンセルすること。
- ハンディ: ハンディターミナル(注文入力端末)のこと。
- パントリー: 厨房とホールの中間に位置し、料理の最終チェックや配膳準備を行う場所。
- ポーション: 料理の一人前の量。
- まかない: 従業員用の食事。
- 走り: 料理やドリンクを運ぶこと。「〇〇を走って!」のように使われます。
- 番手(ばんて): テーブル番号や席番号。
- キープ: お客様がボトルワインなどを次回のために預けておくこと。
4. 人物に関する隠語
スタッフの役割や立場を指す言葉です。
- キャプテン: ホールの責任者、またはリーダー。
- サブ: サブマネージャーや副責任者。
- 新人: 新しく入ったスタッフ。
- ベテラン: 経験豊富なスタッフ。
- バイト: アルバイトスタッフ。
隠語が持つ意味と役割
これらの隠語は、単なるスラングではありません。
- 効率的なコミュニケーション: 忙しい現場で、短い言葉で多くの情報を伝えることができます。
- お客様への配慮: お客様に直接聞かれたくない内容を、スタッフ間でスムーズに共有できます。
- チームの一体感: 共通の言葉を使うことで、スタッフ間の連帯感や仲間意識が生まれます。
もちろん、お客様の前で隠語を多用することは避けるべきですが、これらの言葉が飲食店の円滑な運営を支えている側面があることも事実です。
この用語集が、飲食業界の裏側を理解する一助となれば幸いです。そして、もしあなたがこの業界で働くのであれば、これらの言葉をマスターして、現場で活躍してください。